>>MUSE VOISE 《8》<<

 

 

「なぁ、明?お願いがあるんだけど・・・・・」

『いつもの、くだらないお願いじゃないよね?』

あのなぁ、くだらないって・・・。

いつものは本気なんだよ。冗談半分だと思われてないか??かなりな不安だ。

「違うって。歌って欲しいんだ。俺にしか聞こえないくらいの声でいいからさ」

『・・・・・・・・。』

沈黙か。明は本当に歌わなくなった。・・・って言うのはちょっと語弊がある。

大学の友達とカラオケにも行くからな。

ただ、俺達のような音楽関係者の前では歌わない。

本気で歌っていないのがばれるからだと思う。

「いいよ。鼻歌程度で。お前のテノールで聞きたいんだから。」

『つっ!よくそんな恥ずかしいセリフがサラッと言えるね?』

言えるさ。育ちの違いもあるだろうが、お前の声でなければ意味がない。

大真面目にこういうこと言ってやると、真っ赤になるんだよなぁ。明って。

おそらく電話の向こうでそうなっているはず。

おもわず、笑みが零れる。

「な?ちょっとだけで、いいから。」

『・・・・・もう。少しだけね?何が良いの?』

よしよし、こうして逃げ場をなくしてしまうのが一番なんだ。

これ以上、恥ずかしいセリフは聞きたくないはずだからな。

そんな、姑息なことを考えつつリクエストをする。

『え?あぁ、いいけど・・・・・』

クラシックの曲じゃないからか、戸惑った声が聞こえた。

そして、少しの沈黙の後受話器からメロディーが流れた。


――EVERYTHING OK!

  悔やまないで はじまりゃしないから。

  EVERYTHING ALL RIGHT

  行けるだけ 突き進んでみろよ

  真実だけを掴むなら 逃げちゃいけない

  やれる力 取り戻せ

  いい訳ばかりの口は閉じなよ

  LOOKING FOR THE WORLD


そう。いい訳できるほどなにもしてない。

できないって悔やむ前に、やるだけのことをやろう。

そして、世界を探すんだ。“俺だけの世界”を。

そう、思わせてくれる曲。

明からかかってくる電話はこの曲がなる。

“がんばれ”って言われているようで・・・・。


『こんなもんでいい?どうしたの?いきなり。』

「うん?人生を頑張るときには最近この曲なんだよ。」

『そうなの?確かに頑張れる曲だね。でも、カズだって歌えるでしょ?』

歌ってもらった曲は、アルバムの中の1曲だった。

明は最近あるマンガにハマッた。

4人の男が、傷を負いつつも旅をするって感じのマンガ。

明から新刊やらCDが出るたびに送ってもらっている。

そんなこんなで5人揃って、読み始めてしまった。

その4人は、弱く強く、正しくもなく間違ってもいない。

ただ、信念を貫けるだけの強さを彼らも求めているし、俺達も求めている。

そんなところが、明と俺達が彼らにひかれる理由だろう。

こんな時、おばあ様から日本語を習ってよかったと思う。

フランス生まれだけど、辞書さえあれば大抵の日本語は理解できる。

だから、日本の原本をそのまま読める。

「あぁ、メロディーは覚えてるけど、俺は歌うのが専門じゃないからな」

『僕も専門じゃないよ・・・・。』

「明・・・。でも、歌は好きだろ?」

『うん。』

専門じゃない・・・か。

ちゃんとレッスンすれば、J大の門もくぐれるだろうに。

惜しいよな。

まぁ、“好き”と言うようになっただけで進歩かな。

「あ・き・ら!!」

『・・・なに?』

ふざけて名前を呼ぶと、少し高い明の声が低くなる。

クスッ、警戒してるなぁ?

「ジュテーム・・・。」

『・・・・・・・・!?』

意味はわかっている筈だ。

「明?」

『最悪!!せっかく歌まで歌って上げたのに!!』

耳鳴りがするほどの怒声が聞こえる。

『もう!!本当に知らない!!!いつか重りをつけて大西洋に沈めてやる!!』

セーヌ川の次は、大西洋か。一応、ヨーロッパなんだなぁ。

いつか利根川とか、荒川とか、東京湾とか出てきそうだ。

明に聞こえないように、笑うから腹が痛い・・・・。

どんなに怒鳴られても、俺にはまったく効かない。

反応が返ってくることが楽しくてしょうがない。

ベタ惚れだな。

『聞いてるの!?まったくもう!くだらないこと言ってる暇があったら寝れば!?』

「ハイハイ!わかりました。寝ますよ〜」

『そっちは冷えるんだから風邪に気をつけてよ?お休み。』

「お休み・・・・。またな」

電話を切って、笑いが本格化してきて生理的な涙まで出てくる。

怒ってるくせに、俺の心配と挨拶だけはするんだなぁ。

可笑しなやつ。まぁ、それに惚れちゃった俺も同類か・・・・。

腹筋が痛ぇ〜〜!!!


8年前、11歳の明に救われたんだ。

あの時、今度は俺が守ってやりたいと思った。恋愛感情じゃなかったけれど。

でも、肝心なときに気づけなかった。

真っ白な部屋であの細い肩を護りたいと思った。

護って護られるそんな関係に・・・・・・。

明のすべてを受け入れて、護れる人間になろうと誓ったんだ。

あの日のあの歌声に。

それが、一生物の恋の始まり・・・・・・・。



――LOOKING FOR THE WORLD――


世界を探せ・・・・か。

今度は二人で世界を探したい。

“HAPPEINESS”と呼ばれる世界を・・・・。

 

 

 

 

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