――もう、いい加減にすればいいのに・・・・・・。
「ハァ・・・・・・」
かれこれ30分は続いているであろう電話に、ホープはため息をついた。
その電話は、フランスのこちらと日本を繋いでいた。
こんな不毛な電話が、3年も続いている。
――やめればいいのに、煽るんだから・・・・・。
今回は長期の休みという事で、フランスのカズの顔を見に来ていたのだが。
この電話のせいで、いささか疲れを感じていた。
耳に入る会話は、まったく進行をみせない。
相手の怒鳴り声がここまで聞き取れるなんて・・・・・。
「愛してるよvv結婚しよう!」
『訳のわかんないこと言ってんな!!いっぺん、セーヌ川にでも流されて来い!!』
「素直じゃ、ないなぁ・・・・・」
『アホか!?なんで、おまえと結婚なんだよ!男同士だろ?』
「あぁ、日本は同性愛って駄目なんだっけ?大丈夫、ヨーロッパは寛大だよ。こっちにおいで」
『はぁ??付き合ってらんない!!ブチッ―――ツーツーツーツー・・・・』
どうやら、切られたようだ・・・・。
苦笑したカズが肩を竦めて振り返る。
「クスクスッ。今日はアホ呼ばわりだね。」
金色の髪が、日に透ける。
カズは、日本人に血が少ないから、言われなければまったくのフランス人だ。
瞳のグリーンが揺れていた。
「いい加減に、止めたらどうだ?毎日のように、喧嘩して・・・・。」
うん?っと首をかしげたカズが、答えた。
「明が、結婚しても良いよって言ってくれたらね?」
――本当にこの男、明しか見えてないな?あれほどもてるのに。
「飽きないのか?怒鳴られつづけて。」
そう問うと、グランドピアノをあけながら、カズが真顔になっていた。
「『あの頃』、明は何を言っても、どうやっても何にも反応を示さなかった。怒って怒鳴り返すって事は、俺の言葉をちゃんと聞いてる証拠だよ。」
そういいながら、ショパンのピアノ練習曲・・・・・。
日本でいうところの、“別れの曲”を弾き始めた。
どうして、日本で別れの曲になったのかは定かじゃないが、僕らの意識ではきれいなバラードって言う方が強い。
僕が黙っていると、カズは淡く微笑んで言葉を続けた。
「それに、恐らく特定の誰かのものになる・・・・。っていうか、恋愛をするのが怖いんじゃない?だから、今は俺の気持ちを知っててくれるだけでいい。」
今年26になったカズは、女遊びが激しかった時期もある。
本人に自覚がなくても、旧伯爵家の長男で音楽家で大学院生ともなればもてて当たり前だ。
それが、どういう訳か男である明にしか目を向けなくなった。
カズと明は、最初のぶつかり合い以外特に仲良くしてきたけれど、今の状況が僕には信じがたかった。
そんなことを考えていたが、見つめるカズの視線に気が付いた。
答えの見つからない僕は、ヴァイオリンを手にとってカズの傍らへ立った。
演奏していて感じる。やっぱり、弘志の集めた4人の誰かとの演奏が心地いい。
今まで、21年間いろいろな演奏家と曲を奏でてきたが、自分のことをよく知っていてくれるからか、このメンバーでしか味わえない何かがあった。
もしかしたら、カズも明に同じような感覚を持っているのかも知れないな。
会話のない部屋に、穏やかな時間が流れていた。
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